IoTと住まい

こんにちは。ウエムラです。

DLC Labでは、3つのテーマでアンケートを行いました。

①コンパクトシティ・複合開発と住まい、②IoTと住まい、③働き方改革と住まい。

前回は①について考察してみましたが、引き続き、今回は②IoTと住まいについてお話をしていきます。

 

まずはアンケートの結果からみていきましょう。


Q:最近話題になることも多い住まいのIoT(Internet of Things)を採り⼊れた設備やツールなどについて、どのくらい魅⼒を感じますか。それぞれについて、魅⼒度を5段階でお答えください。


■IoTの魅力度

夢より現実? エネルギー可視化、冷蔵宅配ボックス、親見守り家電、が魅力度TOP3。

IoTで魅力度が高いトップ3は

①エネルギー可視化、②冷蔵宅配BOX、③高齢の親見守り家電。

日常の切実な「コスト効率化」や「困りごと」を解消するモノへのニーズが高くなっています。

 

スマートキー、レシピ提案、スマートスピーカー、自動発注システムといった「あったら便利かも」なアイテムは優先度が低いようです。

デジタル世代は新アイテムにも興味津々? 年代別では、若年層のほうが積極的にIoTに協調。

■IoTの魅力度(年代別)

年代別に魅力度をみると、全アイテムで20~30代と40代の差が歴然。

若年層のほうがIoTへ魅力を感じており、調理家電やスマートスピーカーなどにも高い関心を示しています。

 

40代は親見守り家電で若年層との差が少なく、年齢を反映した傾向はみてとれます。

アイテム別でも20代の積極性が顕著。将来への社会的ニーズとして期待される。

20代はエネルギー、時短、健康、料理、買い物など幅広くIoTを受容。

30代はエネルギー、時短、遠隔操作など共働きの多忙な世代ニーズを反映。

40代は親見守りへの関心が高いが、総じてIoTの必要性には消極的。

 

ただ、依然、レシピ家電やスマートスピーカーなどに魅力を感じる人は、若年でも半数程度。今後の技術やインフラ整備などが本格的なIoT浸透の条件となりそうです。

若い世代が先導。5Gで加速するスマートホーム。

今回のアンケート結果をざっくりまとめると、

①夢より実利。まずは、日常の困りごとを解決してくれるアイテムが最優先。

②20~30代の若い人ほど、IoTに積極的。

という感じ。

 

20代、30代はこれから家庭や新しい家族を持ち、住宅への関心も高まる世代。

5Gによって通信スピード、ボリューム、質が飛躍的に向上することも相俟って、住宅へのIoT導入は、今後、「夢」の分野においても加速していくことでしょう。

例えば5G時代の冷蔵庫は、庫内をチェックしてレシピを表示したり、食材の補充どきになると自動的に注文、ネットで届く、といった具合。※1

いつかはこんなことが起こるかも?とイメージしていた場面が、リアルな日常になるかもしれません。

今後はもっと多世代、多様な人々が、住まいにIoTを採り入れる時代へ。

さらに、若いファミリーだけではなく、多世代、多様な人々へのポテンシャルも期待されます。

喫緊の取組みのひとつが、高齢者などに対する遠隔医療。

既に、東大医学部はじめ、大学等と連携してアプリを開発しているベンチャー企業※2や、医師が少ない地域での遠隔診療※3など、在宅で診療が受けられる多くの事例がみられます。今後は、5Gによる画像データの質・量・スピードアップにより、より正確な診断が可能となるでしょう。

また、子供や大学のe-ラーニング。特に海外一流大学の講義がオンラインで受けられるシステム※4は学生の国際競争力を高める上でも魅力的です。

そのほか、ハンディキャップの人などを対象に、介護士の遠隔操作により自宅で快適に暮らすことができるVRやAI搭載の車椅子※5なども開発されています。

住まいが、クリニック、塾、大学、リハビリテーションなどの場にもなりうる時代。

単なる利便性を超えて、住宅の役割も、もっと多様に、重要になるでしょう。

国交省の「不動産業ビジョン2030」でも、高齢化や働き方改革などに対応した、住宅へのIoT、AI導入が推奨されており、所謂スマートホームへの流れは国家レベルで進むことが予測されます。

IoTと住宅が創る未来。ちょっぴり心配な側面も…?

ただ、IoTの住宅への導入が、すべてバラ色かというと、心配なこともあります。

例えば、Google HomeやAmazon Echoなどのスマートスピーカー。

音声でいろいろなことに対応してくれる、頼もしく、楽しい相棒である一方で情報を吸い上げるチャネルでもあるのです。

ここから得られたビッグデータがさらなるサービス向上へ還元されていくという意味では、有効な機能といえますが、技術的には、他企業等のデータとのマッチングによって個人の特定も可能※6といわれています。

事実、GAFAなど大手IT企業の情報独占については、IMF専務理事※7が警鐘を鳴らすなど、規制強化の必要性も含め国際的な関心が高まっています。

 

スマートスピーカーだけではなく、スマートキーや画像による見守りシステムにおけるサイバーセキュリティも、重要な課題です。

私たち生活者も情報に対するリスクはきちんと認識したうえで、IoTを採り入れていく必要がありそうです。

IoTと住まい。本来の目的や社会的意義も見つめ直し、ぜひ主体的な活用を!

もちろん、IoTやAIは、本来、人々、世の中を幸せにするのが目的。

IT大手企業もスタートアップ企業も、本質的には人々への貢献を第一義に掲げ、技術開発に努めているのだと思います。

住まいとの関係性においても、IoTやAIの社会的・経済的意義は、今後極めて大切になるでしょう。

その証左として、国連の責任投資原則を受け国際社会全体の目標として共有されているSDG(Sustainable Development Goals)の中に、「住み続けられる街づくり」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」など、住まいとの関係性が強い項目が含まれていることや、不動産企業やリート企業へのESG(Environmental Social Governance)投資が近年著しく増加していることなどが挙げられます。

 

IoT黎明期、かつ5G本格化前夜の現在は、情報リスクも認識しつつ、改めてIoTを住まいに採り入れる目的や、地球レべルでの社会的・経済的意義などを考えてみる、よいタイミングともいえそうです。

次世代のみんなが幸せになる住まいのツールとして、ぜひ前向きかつ主体的に、技術を活用していきたいですね。

 

ウエムラ

※1 TABI LAB

※2 例:㈱キュアアップ、東京大学医学部附属病院とNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリの臨床研究、慶応義塾大学医学部とニコチン依存症治療用アプリを共同開発など。

ポート㈱/東京女子医科大学と高血圧治療の遠隔診療を実証実験。など。

※3 例:ポート㈱/自治体と連携し日南市などの医師不足地域で遠隔医療の実証実験を実施。

※4 例:一流大学の人気講師の授業をオンラインで受けられるMOOC(Massive open online course)は、スタンフォード大、MIT、ハーバード大、東京大学などが参画している。

※5 「Telewheelchair」 Digital Nature Group  

※6 出典:アマゾンが描く2022年の世界 (PHPビジネス新書 田中道昭)

※7 2019.6現在

 

 掲載のアンケートについて

・実施時期:2019年3月

・調査対象:
 1都3県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)在住

 20~40歳代男女

・N=993

 

調査協力:楽天インサイト株式会社