【まちみら】まちライブラリー/礒井純充さんインタビュー 後編

前編に引き続き、まちライブラリー提唱者の礒井 純充さんに、運営者や利用者にとってのまちライブラリーと、街づくりについて伺いました。

 

インタビュー前編はコチラ

[ まちライブラリー提唱者 ]
礒井 純充 ISOI YOSHIMITSU

まちライブラリー提唱者、森記念財団普及啓発部長、大阪府立大学観光産業戦略研究所所長補佐、客員研究員。1981年に森ビル株式会社に入社し、1987年より社会人教育機関「アーク都市塾」の立ち上げに携わる。その後2003年より「六本木アカデミーヒルズ」を開設するなど様々な文化活動に従事。2010年より「まち塾@まちライブラリー」を提唱。大阪、東京をはじめ全国460ヶ所以上で展開。

海外を含む約460ヶ所で展開されているまちライブラリーですが、運営者・利用者にとってまちライブラリーはどのような存在なのでしょうか

───多くの人が趣旨に共感している

これは今、調査をしているところなのですが、当然460ヶ所もあれば活発なまちライブラリーと、そうではない休止しているまちライブラリーがあると思いますが、多くの人たちが活動の趣旨に共感していることが、アンケートやインタビューによって分かってきました。まちライブラリーはこのような人たちで成り立っているということなのです。
例えば、まちライブラリーをやって人の交流が増えたという人は60%を越え、人間関係が良くなったという人も50%くらいおられます。さらには本業が良くなったと答える人も40%を越えています。中には普通の主婦で自分では何もできないと思っていた人が、地域に愛着ができたり、行政と一緒に仕事をするようになったケースもあります。

これは、自分事としてまちライブラリーを捉える素地が各々にあったのだろうと。要するに、まちライブラリーをやっている人が我がこととして取り組みだすと、周りの関係が変化し、自らへの自己効力感を持ちえている経験をしている人が、たくさんいるということが分かったのです。

 

───まちライブラリーが心の中を顕在化するきっかけ

やはり現代社会の中でなかなか自分の存在感やアイデンティティーが大事と言われても、表現できずにいろいろなことを考えている人が潜在的にたくさんいるということではないかと思うのです。

その人たちにまちライブラリーというメソッドを与えたことで、今まで心の中で分からなくなっていたことが顕在化できたのではないかと。そして、その人自身の夢を膨らますことができたのではないかと。僕自身も、これならやっていけると思ったんです。

それは多分まちライブラリーを運営する全国460ヶ所の人たちだけでなく、利用する人の中にもいると思うのです。まちライブラリーに来ることにより、自分の自己確認、存在確認ができる人が多分増えたのだと思います。今までそういうきっかけが無かっただけだと思うんです。

これからまちライブラリーが発展しく中で、大事にしていきたいことはありますか。またその中で、街との関わりについてもお話しいただけますでしょうか。

───街づくりは前提ではなく、きっかけに

それ、難しい問題なんですが、大事にしていかなければならないという意味では前編でお話しした通り、自身の自己確認、存在確認ができるきっかけを提供する事がまちライブラリーの最大課題であると、今後も自分に言い聞かせられるかどうかだと思います。つまり、まちライブラリーが、街づくりというものを前提としていないということを。

 

ただ、まちライブラリーが結果として街づくりに役に立つのではないか思っています。行政や企業が一方的に進めるまちづくりでは、どうしてもその地域の人は他人事になります。中には積極的に賛成し、逆に反対する人もいるけれど多数の人は傍観者です。これではいくら良い箱モノを作っても結局まちの生活に浸透しない。こんなことを少なくするためにも我がとこと思える環境づくりがまちライブラリーが目指すべきこれからの姿だと思います。

 

───全体の1000万人ではなく、自分が大事な数人のために

街全体を変えるという概念はもう捨てたほうがいいと思うんです。

アメリカファーストという言葉があるけども、エゴイズムな考えではなく自分ファーストな視点を持っていくしかないと思う。というのは、例え小さな町だろうと大きな都市であろうと、自分がその街に住んでいて全員と人間関係を持っている人なんて、誰もいないわけですよ。人間関係ってすごく小さいグループに集約されているはずなんです。自分が大事にしなければいけない人というのは、ほんの数人からせいぜい50人ぐらいまで。そうすると、この人間関係が良ければ、その人にとってはとてもハッピーな街になる。だけどそこに手を入れないで全体の1000万人を幸せにしますと言っても、ただの能書きでしかないんです。

 

───関係性から広がる可能性

各々個人が自分の関係性を取り戻し始めたら、一気にその人の人生観は変わっていくんですよ。そうすると、すごくハッピーな状況が醸成され、幸せ係数が上がるかもしれない。ひょっとしたらですが、何か新しい試みをやろうとした際に、自身の人間関係の中から呼び掛ければ動く可能性もあるし、連携が取りやすくなる、またビジョンの共有もしやすくなるかもしれません。

例えばある人がいきなり目覚めて、街づくりのNPO作りました。ある人が新しいビジネスを始めました、教育ボランティアを始めましたと、それぞれ違うし同じものはないんです。それがその人にとっての幸せ感だし、充実感だし、やりがい感。当然悩みも出てくるだろうし、壁にぶつかるだろうし、でも、それも人生ですよね。

まちライブラリーというのは、別にシステムがあるわけではないから、結局そこから生まれた、それに関わった人一人の人のストーリーがまちライブラリーだと思うんですよね。

 

<本件に関するお問い合わせ先>

株式会社DGコミュニケーションズ まちの未来デザインユニット

mail:machimira@dg-c.co.jp

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