【街情報】小田急線 柿生

【街情報】小田急線 柿生

こんにちは。編集部フクモトです。

 

今回紹介する街は、柿生です。

「かきお」です。

私は大学生時代を小田急沿線の鶴川で過ごしたので、柿生もとても縁のある場所です。友人の何人かが柿生に住んでいて、青春を謳歌しておりました。

果物の名前が付く地名は珍しいな、とか思ったかどうかは忘れてしまいましたが、この地域では禅寺丸柿(ぜんじまるがき)という、日本で最古の甘柿とも言われる柿の一大産地だったそうです。

 

建保2年(1214年)に王禅寺の山中で発見されたとされていて、名前のない柿だったそうですが、王禅寺が徳川家の天領だったこともあり、家康が王禅寺丸柿と名付け、後に元禄時代の頃になって禅寺丸柿と呼ばれるようになったそうです。さらに、産地だったこの地域も「柿生村」という名前になりました。

神奈川県の片隅で作られていた禅寺丸柿も昭和の時代に入り開通した小田急線の力によって関東各地へ、のちには全国へ出荷されることになりました。

昭和中期になるとこの柿産業は衰退していったのですが、地元有志の保存活動などにより、平成19年に国の指定登録記念物に指定されました。(川崎・麻生観光協会より抜粋)

現在は「柿生」という住所は残っておらず、小田急線の駅名に残されているだけです。

柿生駅は川崎市麻生区にあります。ちなみに時々「あそう区」と読む方もいらっしゃいますが「あさお区」が正式です。

東京か?神奈川か?

小田急線の柿生駅や、隣の鶴川駅なんかは、あるある的に「東京なのか神奈川なのか」論争に巻き込まれることがあります。「なんとなく東京の端っこの方だし、神奈川なのかどっちかよくわかんないよね、あの辺」と、都会に住む方々に言われたものです。今でも言われます。

実際に、地図を見てみましょう。

Google mapに市区境界線を引いてみました。赤い部分が川崎市麻生区、青い部分が東京都町田市。柿生駅は麻生区にあるのですが、ちょっと歩くと町田市に。隣の鶴川駅は町田市にあるのですが、ちょっと歩くと麻生区に。といった感じで、東京都と神奈川県が入り組んでいるのですね。

この地図を見て、あれ?と思った方もいるかもしれませんね。そうなんです。鶴川駅の南側にある麻生区は、飛び地なのです。

ほら。

 

こんなこともあるので、「東京なのか神奈川なのか」論争が勃発してしまうのですね。

“地味”な街?

神奈川県にあるのかも疑問に思われる街、柿生。もちろん地元の方や小田急沿線に住む方はそうは思っていないはず。しかし、柿生があまり知られていない、いわゆる“地味”なことを表すデータがあります。

(株)DGコミュニケーションズ調べ
(株)DGコミュニケーションズ調べ

これは、2000年1月以降に柿生駅を最寄りとして発売された新築分譲マンションのリストです。

物件名に注目です。一般的に分譲マンションの物件名は、主には最寄り駅か住所、近くの有名な場所の名前などを付けるのが決まりです(本当はもう少し厳しい条件がありますが)。

どんな名前を付けるかは、その駅や場所の認知度や印象などをデベロッパーや広告代理店の方々が頭をひねって考えます。

「よし、広域に訴求したいからみんなが知っている駅の名前を付けよう!」とか、「ここは昔から有名な地名だから、地名をマンションに付けよう!」とか。

つまりは逆に、「この駅の名前は微妙だね。住所も広くに知られているわけではないけど、なんかこっちの方がキレイだね。よし、地名を付けよう」なんてことも起こり得るわけです(実際はもっとしっかり考えますが)。

 

柿生にはそれが起こってしまったわけです。

 

物件名に戻って、よく見てみると、柿生駅が最寄りなのに、殆どの物件が「麻生」と付けているのです。名前の歴史としては、「柿生」の方が古いのに。全ての物件がそうだったとは言い切れませんが、あまり知られていない「柿生」よりも、区名が入った地名でわりと名の通る、しかもなんとなく響きの良い(これは主観?)「麻生」を選んだのです。もちろん、こうすることで少しでも広域訴求できることを願ったのだと思います。マンション分譲もビジネスですから、売れなければ意味がないですからね。

柿生だと地味なのでしょうかねぇ。

麻生区の力

とはいえ麻生区の名前を持ってしても、川崎駅がある川崎区や幸区、武蔵小杉のある中原区などと比べると、やはり知名度は少し下がるのかもしれません。

しかし、こんなデータもあります。

このグラフは、平成27年国勢調査で、自分の居住地が5年前(平成22年国勢調査)とどう変わっているかを示したものです。

近隣の多摩区、宮前区、高津区と比べてみると、麻生区は「現住所のまま」「自区内で移動」の割合が最も高いことが判ります。つまり、「麻生区から転居していない」人の割合が高いということ。麻生区の定住率が高いことを表しています。「麻生区を離れたくない人が多いのでは」と考えることができます。

 

そしてもう一つ。

 

こちらのグラフは、同様に5年前から、どこから転入してきたかを示したものです。

麻生区は近隣区よりも、東京都から転入してくる人の割合が高いのです。つまり、「広域の人も麻生区に住みたくなる訴求力がある」と考えられるのです。ここから深掘りすることも必要ですし、麻生区全体の話なので柿生がどうか、という議論はあるかもしれませんが、麻生区であることを訴求することは、柿生にとってもプラスに働くのですね。

 

私個人的には、柿生は地味な街のままで良いと思っています。利便性は高いとは言えませんが、自然も多くてこぢんまりとした良い街です。そんな街でシンプルに暮らすのもアリだと思います。

 

フクモト

※グラフ2点は平成27年国勢調査データをもとに作成。元データから一部文言を変更しています。