【街情報】神楽坂

【街情報】神楽坂

表通りから一歩奥に入ると石畳や黒塀のひっそりとした雰囲気が、かつてはこの街に花街が栄えていた面影を残す。その一方で表通りは飲食店や商店がたち並び、多くの人が行き交う賑やかな顔を見せる街、神楽坂。

こんにちは。編集部フクモトです。

今回紹介する街は、神楽坂です。
住所は新宿区神楽坂を中心としたその界隈。JR飯田橋駅付近が神楽坂下にあたります。この神楽坂の地名の由来は、坂の途中にあった高田八幡の御旅所で神楽を奏したから、津久戸明神が移ってきた時この坂で神楽を奏したから、赤城明神の神楽堂があったからなど、諸説があるようです。

花街としての神楽坂

寛政4年(1792年)に善國寺(毘沙門天)が麹町からこの地に移ってきたことでこの地が賑わい、花街も形成されていきました(※1)。現在でも神楽坂には20名ほど(2014年時点)の芸者さんがいて(※2)、料亭などでお座敷遊びができます。坂の途中の賑わいは、大正時代には山の手の銀座と言われていたそうで、関東大震災後、日本橋方面から商人が入ってきてより盛んな街になったようです。

神楽坂を登ったところに東京メトロ千代田線・神楽坂駅、都営大江戸線・牛込神楽坂駅があり、坂の途中の賑わいを残しつつ、住宅や小振りなビルがたち並んで、違った雰囲気を見せます。坂の上は、箪笥町・矢来町・細工町など、江戸時代の歴史にまつわる町名が多く、個人的には興味をひかれます。新宿区の町名についてはまた今度、深掘りましょう。

※1:善國寺HPより
※2 :東京神楽坂組合 HPより

リトルフランス

神楽坂を訪れたことがある方はご存知かもしれませんし、雑誌やWebでたくさんのお店が紹介されているのも、よく目にするかと思います。そして最近ではリトルフランスと呼ばれるくらい、フランスの雰囲気を感じられるのが神楽坂です。
この街には、ここ数年でおしゃれなカフェやレストランがたくさん増えました。チェーンの大きなお店もあれば個人経営の小さな穴場的なお店まで。私が社会人になりたての十数年前は、今ほどではなかったなと記憶しています。
フレンチやイタリアンの飲食店が多く、外国人の方々で賑わっているのをよく見かけます。飯田橋界隈には外国人が多く住んでいるようで、理由はいくつかあって、都心なので大使館や外資企業で働く方が駐在しているということ。もうひとつは、フランス発祥の教育機関があることでフランス人が多い、と言われています。

暁星学園は1887年に日本に来たフランスの修道会・マリア会会員によって創立され、現在は幼稚園、小学校、中学・高等学校があります。フランス政府公認で、この学校(高校)を卒業するとバカロレア(高校卒業証明書のようなもので、大学に進学するためには絶対必要な条件)と同資格を取得することができるそうです。(※3)
その暁星学園国際部日仏科として創立された東京国際フランス学園(旧リセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京、現在は北区滝野川に移転)や、シャルトル聖パウロ修道女会が母体となる白百合学園、フランス政府公式の文化機関アンスティチュ・フランセ東京などもあり、フランス色が強い街であることが判ります。

東京国際フランス学園 HPより

※3:バカロレアについて:フランス留学センター HPより

そういうわけで、神楽坂、飯田橋はフランス文化との深いつながりがあり、リトルフランスと呼ばれているのです。

新たな日本文化発信

神楽坂界隈は、出版の街としても知られています。新潮社(神楽坂)、KADOKAWA(飯田橋)、大日本印刷(市ヶ谷)などなど、大手出版社や、それに付随する印刷会社が多く社を構えています。
デジタル化が進み、出版業界も淘汰されて事業縮小やリストラなどが行われていますが、その資源を利用して新たな文化発信拠点が神楽坂につくられました。

昭和40年代につくられた新潮社の倉庫の跡地にできたキュレーションストアla kaguです。アフタヌーンティールームでおなじみの、サザビーリーグが運営しています。

コンセプトはREVALUE。「流行に流されず、“ 昔からあるもの” や“これからも大切にしたいもの”に価値を見出そうという姿勢のもと、「衣食住+ 知」のライフスタイルを提案していく」(※4)ことを目的としてつくられ、ファッション、生活雑貨、家具、カフェ、書籍など、各カテゴリのキュレーターが商品を選んでいます。


TABROOM より

設計は隈研吾氏。倉庫の雰囲気を生かしつつ、神楽坂の街に合ったデザインで、日本の生活文化を発信している注目スポットです。

日本の文化といえば、もうひとつ紹介したいのが、あかぎカフェ。
神楽坂には赤城神社という、はじまりが西暦1300年、鎌倉時代というとても古い神社があります。江戸時代には日枝神社・神田明神と共に、江戸の三社と称されるほど由緒のある神社です。(※5)

2009~2010年に赤城神社再生プロジェクトとして、社殿の建て替えと境内の再開発が行われました。境内の一部は幼稚園になっていましたが、少子化のため閉園。その再開発に三井不動産レジデンシャルが分譲マンション事業を行い、その1階に設けられたのが、あかぎカフェでした。また、日本文化の継承と地域発展のために、かぐらざか あかぎ寄席や、月1回のマルシェなども開かれています。(※6)

分譲マンションと神社の再開発事業は「異質な建物のトータルデザインをモチーフとした一体開発の実現、神社が行う街興しプロモーションの積極支援によるコミュニティの形成、神社の既存樹の積極利用による環境配慮など、昨今の神社の運営上の課題のソリューションを提供した開発プロジェクト」(※7)として、2011年度グッドデザイン賞を受賞しました。
神社のホームページもおしゃれに作られているので、ぜひ見てみてください。
ちなみにこの事業の設計も、la kagu と同じ隈研吾氏です。

都心居住地として

神楽坂界隈は、昔から住んでいる人が多く、街を歩いていると都心なのに戸建てが多いなという印象を受ける街のひとつです。しかし分譲マンション供給も増えてきて、2000年に都営大江戸線が開通してからはよりマンションが多くなってきました。
下のグラフは、都営大江戸線神楽坂駅~若松河田駅を最寄りとする新築分譲マンションの供給戸数と平均坪単価の推移です。

株式会社DGコミュニケーションズ作成

この辺り(特に若松河田、牛込柳町)は、東西線や新宿線、JRどの路線からも遠い場所なので、大江戸線が開通する以前は、どちらかと言えば、都心だけど不便な場所というイメージでした。しかし大江戸線開通後は便利になり、住宅開発が進んできました。以前は、価格は比較的割安な穴場的エリアだったのですが、やはり都心なので価格も値上がりしており、都心居住エリアの価値を高めています。
神楽坂で出てくる分譲マンションは、街の雰囲気に合わせて和テイストのデザインなどが取り入れられているものもあり、魅力的な物件も多いです。

大規模な開発はあまり行われないエリアですが、外国文化と日本文化が味わえる都心の小さな街、神楽坂。住んでみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

フクモト