
こんにちは。編集部・フクモトです。
不動産市況の話を交えながら、「街」の紹介を主に行っていくテーマのこのコーナー。
今回は、小田急・相鉄・JRが乗り入れる「海老名」のお話。
ここにゆかりのない方は、海老名という地名で思い出されるのは海老名サービスエリアではないでしょうか。
下り線の休日の利用者はなんと1日5.7万人(※1)で日本一だとか。
メロンパンも有名ですね。私は食べたことありませんが。
しかし今回の海老名は海老名駅。小田急線、相鉄線、JR相模線が乗り入れるターミナル駅。小田急線で新宿まで44分 相鉄線では横浜まで26分(※2)、駅前には大型ショッピングモールがあり周辺は住宅地が形成される都心のベッドタウンとしての機能を司る街です。
発展と停滞
1980年代後半頃から駅前再開発が活発化し、1993年にはイオン(旧サティ)が増築され、ワーナー・マイカル・シネマズが開業。2002年には大型ショッピングモールVINAWALKが開業。大規模タワーマンションも建設され、当時の住宅マーケットは盛り上がりました。体感的にも記憶があります。しかし2006年以降、ミニバブル期に入ると海老名マーケットは静かになります。
その理由としては、住宅価格の高騰、ミニバブルやリーマンショックなどによる消費形態の変化、2006年にラゾーナ川崎、2007年にららぽーと横浜が開業し、神奈川県央エリアの消費者の動きが変わった、などが考えられますが、実際に海老名駅最寄では新築マンション供給は2007年からピタリと止まってしまうのです。
下記は1993年以降、海老名駅を最寄として販売された新築分譲マンションの供給戸数推移。
転機
しかし、海老名駅の西口の再開発によって、この街は新たな変貌を遂げることになります。
2009年に老名駅西口土地区画整理組合が設立され、約14haの施工面積、計画人口3000人、公共、商業、住宅の開発が主となる土地区画整理事業が進んでいきます。これまでは細い橋のようだった小田急線・相鉄線の駅と、JR相模線の駅をつなぐプロムナードも新たにつくられ、駅東西の快適な空間形成がなされました。

2015年10月、この土地区画整理事業の目玉、ららぽーと海老名がオープンしました。
神奈川県内では3番目、全国では10番目となるららぽーと海老名は、グランドオープン時には263店舗のテナントを誘致。日本初出店の北欧雑貨ショップ・アルメダールスをはじめ、神奈川県初出店のショップなどが参入し、話題となっています。

住宅マーケットの復活
ららぽーとの開業に湧きながら、住宅開発も活発化しています。
まずは2014年後半から、土地区画整理事業地内に相鉄不動産がグレーシア海老名・総戸数115戸が分譲されました。
リコーと提携したITの活用や、HEMS、MEMS、太陽光、蓄電池などを取り入れたスマートマンション。販売坪単価は202万円と、これまでの海老名マーケットから見れば非常に高額でしたが、約3ヶ月で完売し、注目を集めました。
そして現在(2016年10月時点)、サンケイビル、名鉄不動産、長谷工コーポレーションの3社JVによる海老名ザ・レジデンス・総戸数412戸が販売をスタートしています。
実はこのプロジェクトは再開発エリアではありませんが、海老名駅の将来発展が期待され多くの反響を集めています。
今後は、小田急電鉄によって進められる海老名駅間地区3.5haの敷地に分譲マンション、サービス、商業、オフィス施設の開発(2025年度完成予定)が話題となることが予想されます。
さらに土地区画整理事業地内には住宅用地があり、大手デベロッパーが参入するという話も上がっているようです。まだまだ海老名駅マーケットの住宅価格は上昇基調が続きそうですね。
ある住宅サイトでは、海老名は“次に来る住みたい街”としてピックアップされており、注目度は高まっていきそうです。
価格が上がっても、街がしっかりとつくられ、暮らす人たちにもたらされる価値がしっかりと明確化されれば、その街づくりは成功と言えるでしょう。
今後もこの街はウォッチしていきたいと思います。
フクモト
※1:2014年10月1日〜2015年9月30日、おおよその1日平均人数
※2:各鉄道会社HPより